火星の水の成分とは?なぜなくなった?どこへいったの?
火星と聞いて、みなさんはどんな星をイメージしますか?
火星は海も川も無くて月よりも遠いし、生き物も住んでいないようにみえます。
ところが、その火星には水が存在していたらしいですよ。
どうして水があったと考えられるのかというと、衛星や探査車による火星の観察から、火星には充分な水があった事を証明できるような川が流れていた跡や、水の働きで出来る石の存在が確認されているからなんです。
火星の水はどのような成分を含んでいるのでしょうか。
水が存在していたのにどうして無くなって、どこへ行ってしまったのでしょうか?
火星の水について詳しくお知らせします。
火星の水の成分って?海水よりしょっぱくない!
2019年に金沢大学(環日本海域環境研究センター)福士圭介准教授をはじめとする日米の共同研究チームが世界で初めて火星の水を復元して、その水質が生き物の生存にとって適していると発表しました。
水が存在しない状態から、どのように水を復元したのかというと、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車「キュリオシティ」が火星のクレーター「ゲール」の内部に湖があった事を見つけ出し、その湖底にある土についてのデータをこの研究チームが分析したのです。
キュリオシティは、水の働きで出来る石や、有機物の存在をちゃんと発見できていたのですが、そこから火星の水を復元することはまだ誰も成し遂げていなくて、なかなかハードルが高かったようです。
誰も成功していなかった火星の水を復元できたらどんなことがわかるというのでしょう?
単に火星に水があったかどうかというだけでなく、存在していた水が生物の生存に適しているのかどうか?ということも知る事ができ、火星に生き物がいた可能性を検証できるのです。
そこで研究チームは、これまでに開発された水質復元の方法を応用して独自に火星の水を復元し、成功させたのです!
この「火星の水」は、pHが中性で、海に含まれているナトリウムと塩素が含まれています。
塩分は地球上の海の3分の1程度で、マグネシウムや、カルシウムなどのミネラルも含まれています。
強い酸性やアルカリ性・塩分濃度が高すぎで、生き物が住めないような水ではありませんでした。
調査の結果、かつて火星に存在していた水は、生き物が誕生したり生存出来る水質であるということが明らかになりました。
火星の水はなぜなくなったの?宇宙へ?それとも?
数十億年前の火星は、現在の地球のように水が豊かで川や海も存在していたと考えられています。
どうして、そのように考えられるかというと、火星の表面に水が流れたような跡が残っていたり、地層のような土が積もっている部分がみられるからなのだそうです。
それなのに、なぜ今は火星に水がなくなったのでしょうか?
火星の大きさは、地球の半分の大きさです。
地球には、引力があるおかげで海水・水が蓄えられていて、宇宙空間へは逃げていきません。
ところが、地球の半分の大きさの火星では引力も弱いので、水分は宇宙へと流れていってしまったようです。
火星が誕生してから4億年もの期間の間に、火星誕生初期の水の量の半分以上が流れたのではないか、という説もあったくらいです。
最近の研究では、火星の大気中に含まれる水素の量から考えると宇宙に流出した水分ばかりではなく、地表には見えない場所に水の行き先があるのではないか、という説も出てきているんです。
目に見える所にはないというのに、一体どこに火星の水があるのでしょうか?
火星の水はどこへ行ったの?意外なところにあった?
火星の水はどこへ行ってしまったのか?という疑問は長い間答えが見つからずにいました。
火星には地球の南極や北極のように極地方があって、そこには水よりも冷たいドライアイスの状態の極冠というものが存在しています。
望遠鏡で火星を見ると、赤く見える火星に白く見える場所があって、それが極冠なのだそうです。
この極冠は、季節のある火星の夏でも溶けずに残る部分があって、それは水からできた氷だと考えられています。
他には、極冠の周りを中心に地表近くで水が凍ってしまって氷になっている事が確認されているようです。
2021年3月、研究者達がコンピューター上で調査した結果、火星の水は石(鉱物)に変化して、火星の地殻に埋まっているということが、学術誌「サイエンス」にも発表されていました。
そして2021年12月に、欧州宇宙機関(ESA)の調査で地球のグランドキャニオン(アメリカ:アリゾナ州北部)よりも大きな火星の谷(マリネリス峡谷)の地表近くにかなりの量の水を発見した、というニュースが報じられました!
カラカラに乾燥していると思われていた火星に、石や氷だけではなく水も存在しているという事は、大発見ですね!
まとめ
遠い場所にある火星にも水があったなんて少し身近に感じるし、存在していた水がまるで海水みたいに塩味だということにも興味が沸きました。
火星の調査って、火星に水のありかを探すところから始まったそうなのですが、火星に存在していた水を調べることで、気候の変化や、生物の存在した可能性を調べたり、地層など地質学に関して…など、さまざまな事が解明されているようです。
これからも火星についてのニュースに注目したいな、と思います!